ごんぎつねと黄桃

ごんぎつね

20代前半までは
僕も奥さんも
実家に住んでいた

自分の車も免許もあったので
奥さんと会うときは
基本、金欠にならない限り
車で奥さんの実家に迎えに行っていた

平日はお互いに勤めに出ていたので
何かイベントが無いと
会いに行ったりは出来なかったが
週末はよく迎えに行っていた

ただ先輩から売ってもらった車が
スポーツカーだったので
とにかくガソリンがいつも
あまり入ってない車だった

奥さんは基本、健康優良児だったが
たまに風邪を引き
寝込んでしまうことがあったが
実家ぐらしだったし

携帯電話も出始めの頃だったので
LINEも無いし
そういう時のコミュニケーションは
とても難しかった

なので、熱が出て
寝込んでいるんだと聞くと
僕は必ずやることがあった

それは、学生時代に
奥さんが好きだったものを
買って実家の玄関先に
届けるということ

イチゴと黄桃の缶詰と
チョコレートを買って
スーパーのビニール袋に入れたまま
奥さんの実家の
玄関先にそっと置いて

奥さんの両親にバレないように
そっと帰って
その後にショートメールで伝える

最初はショートメールする前に
両親にバレて

なんか知らない人が
缶詰を玄関に置いていったと
少々気持ち悪がられたけど

品物の種類を奥さんが見て
あぁそれは私へのものだと
説明してくれたらしい

今でも奥さんが風邪で寝込むと
イチゴと黄桃の缶詰を買ってきて
水洗いして食べさせてあげる

とろんとした目元と
赤らめたほっぺたが
何だか辛そうだけど

いつも
「ありがとう、もう元気になるな」と
言い食べてくれる

正直、品物は
何でもいいと思うし

風邪でしんどい時に
合ってるものかどうかは
わからないけど

18歳のころから
奥さんが辛いときは
これを食べさせて
元気にしてやろうと

想いを乗せれる
イチゴと黄桃があるってことが
大切なような気がする

そして、この気持は
ずっと持ち続けていたいなと

想っている大切な相手を
思う気持ちだと思っている

ごんぎつね

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