眠りの浅さも愛おしい

僕の奥さんは眠りが浅い。

外で風が吹いたり、何か物音がすると
すぐに目が覚めるらしい。

らしいと言うのは、僕自身が寝るとなかなか起きないので
「昨日の夜、風すごかったね」などと次の日の朝に言われても
まったくわからないので、らしい・・・である。

29歳の時に起業し、右も左もわからないまま
翻弄しながらも日々を過ごしていると夜の会食が増えた。
今でこそ、集まりのような飲み会には参加していないが
やはり一般から考えると比較的、夜に出る頻度は高いと思う。

なので深夜の帰宅時には奥さんを起こさないようにと
最善の注意をはらい、寝室で着替えて布団に潜り込むんだけど
布団に入って少しすると「おかえり」と僕を見てくれる。

「え?まだ起きてたの?」と聞くと、奥さんは
寝てたけど目が覚めたんだよと言って「今日も1日お疲れ様」と
1日を優しく終わらせてくれる。

いつも起こして悪いんだけど、この言葉を聞くと
あぁ今日も1日終わったなぁと心から思い癒やされていた。

そんな僕たち夫婦も結婚して23年目になるのだが
最近、奥さんが進化をしている。

僕は日々、22時~23時に帰宅してリビングにいる奥さんか子どもに
ただいまーと言い、誰も風呂に入ってなかったらさっさと風呂に入る。
風呂から出ると大体23時とか23時半になるんだけど
そこから1~3杯晩酌をしながら本を読んで寝るという感じ。

奥さんは22時あたりに帰れば起きているが
僕が風呂から出る時間には、ほぼ寝ている。
なので起こさないように静かに晩酌をしながら本を読むんだけど
僕が奥さんの近くに座ると大体30秒後あたりから
「すーすーすー」と寝息が漏れてくる。

今まで寝てても寝息なんか出てなかったのに
なぜか僕が帰ってきて寝室で落ち着くと30秒後に
寝息が漏れてくる。

あぁ奥さんは寝てても僕を待っててくれてるんだなぁと
思いつつ、奥さんの寝息を聴きながら晩酌をするのが
最近の楽しみになっている。

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