僕の奥さんは
腕を組むことはしない
一緒に歩く時は手をつなぐ
そして、いつも僕が
左手で奥さんが右手
なにか意味があって
そうなったわけではないけど
思い返せば
歩行者側を歩かせたくって
いつも僕の左手でつないでたら
それが定着していた
僕の手は妙に大きく
昔どこかのラーメン屋さんに
貼っていた貴乃花の手形色紙と
比べてみたら
僕のほうが一回り大きく
自分でもびっくりした
自分の手を見ていつも
もっとスラッとした手がいいなぁとか
もう少し指が長くならないかなぁと
思っていたけど
結局グローブのような手で
落ち着いている
そんな僕の手とつなぐ
奥さんの手は小さくて温かい
僕も昔は暖かかったんだけど
いつぐらいからか手先や足先が
妙に冷えるようになり数年前
人生で初めてのしもやけにもなった
なので手を繋ごうとしたときや
抱きしめようと思った時に
とても気になる
こんなに冷えた手で
触られると嫌だろうなと
悪気なく手をつないだり
触れることを若干避けていたら
奥さんがギュッと手をつないでくれた
「冷たいでしょ」と言うと
私はこの大きな手が好きなのよ
温めてあげるねと
小さな手で大きな僕の手を
一生懸命包んでくれた
奥さんの手の温度を
どんどん僕の手が奪い
二人共冷たくなったけど
しばらくすると僕の手は
温かくなって
奥さんの手を温める側になっていた
今度は僕の大きな手で
奥さんの小さな手を包んだ
「温かいね」と
微笑む奥さんを見て
自分が感じる幸せを
再確認できた気がした
人の温度は
一方通行ではなく
双方行ったり来たりすることが
幸せを創っていくんだろうなと