見栄とティファニーのピアス

誕生日

3月は奥さんの誕生日月で
毎年どうお祝いをしようかなと
悩んでいるんだけど

平日だったり週末だったりとある中で
仕事もあるし、子供の予定なども
優先的に入ってくるし
なかなか二人でなにか
お祝いをしに出かけることは難しい

そんな日々の中で、たまたま3年前の3月に
僕と3月生まれの僕の友人と奥さんとで
一緒に昼呑みしに行こうという話になった

奥さんはとても喜び
その日が待ち遠しくて
たまらない様子だった

その予定は1ヶ月ぐらい前に
決まったので、僕の中で
二人に何のプレゼントを
用意してあげようかなぁと悩んでいた

子供のように
その日を楽しみにしている奥さんに
なるべくバレないように

僕は仕事中にプレゼントを
買いに行くことにした

少し前にリビングで
雑誌を見ながら奥さんが
こういうピアスって可愛いなぁと
珍しく言っていたので

僕の中でプレゼントは決まっていた

実は僕の奥さんは昔から
安いピアスをつけると
なぜか耳が炎症するので
あまり安いピアスをつけれない

でも高いピアスを
ポンポンと買えないので
日々、奥さんの耳元が
違うピアスで彩ることは、ほぼ無い。

たまには違うピアスを
つけたりしたいだろうなと
前々から思っていたので

今回は頑張って少し良いピアスを
買ってプレゼントしてあげようと
僕もなんだかワクワクしてきた

そして雑誌を見ながら
奥さんが可愛いなぁと言っていた
ピアスを思い出し
ティファニーへ向かった

お高そうなガラスケースが並び
小綺麗なスタッフさんが
にこやかにこちらを見ている

なんか買い物に来てるだけなのに
妙に緊張というか凛とする

店内の雰囲気に
飲まれそうになりながらも
お目当てのピアスを無言で
ひたすら探して見つけた

スタッフさんに声をかけ
ガラスケースから出してもらい見ると
花のような形でとても綺麗で可愛かった

あぁこれが奥さんが欲しい
ピアスなんだなぁと見ていると
なぜかスタッフさんに
「娘さんへのプレゼントですか?」と言われた

一瞬、え?と思ったのに
瞬間的に「はい」と言ってしまった

素直に奥さんへの
誕生日プレゼントなんですと
言えばいいのに

変な見栄が出たんだろうな
娘へのプレゼントという流れに乗ってしまった

心のなかで
「5万もするのに、このピアスは若者用なのかな」とか
「奥さん用ですって言ったら、とんでもない金額の品を勧められるのかな」なんて

妙なところで臆病な僕は
ずっと考え込んでいて
スタッフさんの説明は一切耳に入らなかった

なんとか無事、そのピアスを
購入することができ
ラッピングもしてもらい

お会計も済ませやれやれと思い
店を後にしたが、なんか変な後ろめたさが
少しだけ自分に残った

素直に言えば良かったのにな…

奥さんのプレゼントって
何で言わなかったんだろうと

見栄っ張りで臆病な自分に
嫌気が差しながら
その日は1人家路についた

当日、三人で駅に集まり
前に一度奥さんと行ったことのある
オープンテラスで昼呑みができるお店に行き
色々と最近の話題や近況報告で盛り上がった

そろそろ次の店に行こうか?と
なりそうな雰囲気を感じ
「今だ!」と思い
二人にプレゼントを渡した

奥さんは前に
自分が欲しがってたピアスだったので
ビックリしたと同時に
本当に喜んでくれた

「こんな誕生日プレゼント結婚して初めてだね」と言い
その場でそのピアスを付け
僕と友人にどうどう?と
嬉しそうに見せた

少しだけ照れくさかったけど
素直に喜んでくれて嬉しかった

唯一、心残りなのが自分の中で
奥さん用ですと言い買えなかったこと。

不要な見栄は
自分の心に
影を落としちゃうな

次のプレゼントを買いに行く時からはやめよう

誕生日

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